ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、和平交渉を仲介する米国がウクライナ領のクリミア半島を「ロシア領」として承認する案を提案したと報じられています。クリミア半島は11年前にロシアが一方的に併合を宣言しましたが、どういった経緯だったのか。米国がロシアの主張を受け入れる方向へ動く背景は何か、解説します。
ウクライナ南部クリミア半島は2014年3月18日、ロシア軍の占領下に置かれた状態で実施された住民投票の結果を理由にロシアのプーチン大統領が一方的に併合を宣言した。欧米は併合を激しく批判し、国連総会も同月、併合を無効とする決議を賛成100、反対11、棄権58で採択した。現在も、クリミア半島をロシア領だと認める国は北朝鮮やニカラグアなどごくわずかだ。
激しい国際批判にもかかわらず、プーチン氏は併合後、クリミア半島に関わる一切の協議を拒否してきた。国内では併合時に国民の愛国的熱狂で支持率が9割近くに達した経緯があり、プーチン氏にとってクリミア半島併合は領土拡大以上の政治的な意味がある。
併合当時、米国のオバマ大統…