内閣府の有識者検討会は31日、約10年ぶりに南海トラフ巨大地震の被害想定を見直し、公表しました。どのような経緯や狙いで発表されたのでしょうか。
Q 被害想定の目的は。
A 南海トラフ地震は静岡県から宮崎県沖を震源域として、今後30年以内に80%程度の確率で発生するとされる。中京・京阪神の都市圏を含む広い範囲で強い揺れと巨大津波が予想され、被害想定を通して、行政や住民に防災対策を促し、被害を軽減する狙いがある。
- 【被害想定】あなたの街は?
Q 議論の経緯は。
A 政府の中央防災会議は2003年、初の被害想定を公表した。当時は宝永地震(1707年)など過去の地震を参考にしたため、死者数は約2万5千人だった。
しかし、11年の東日本大震災では想定を大きく上回る規模の地震が発生した。政府は反省を踏まえ、発生頻度が低いとしても、最新の知見から「最大クラスの地震・津波」を前提に、南海トラフ地震の被害想定の見直しを進めた。
そして12年、東日本大震災の1.8倍の1015平方キロが浸水し、最悪のケースで死者が約32万3千人、建物の全壊焼失が238万6千棟に上る被害想定が公表された。翌年には、当時の国内総生産(GDP)の4割超にあたる220兆3千億円の経済被害が出るとの想定も示された。
これらの想定を受け、政府は14年、10年間で死者数8割減、全壊建物5割減を目標とする基本計画を作った。
Q その後の地震の教訓は…