71歳の日系3世、ハイムンド・シノハラ・サトルさん。今は解体のアルバイトで暮らす。「ブラジルに帰りたくても、チケットを買う金もない」=2025年1月11日、群馬県大泉町、平山亜理撮影

 人手不足を補うため、日本人の血を引く日系ブラジル人らが「デカセギ」として来日し、30年あまりがたちました。高齢化が進み、困窮する人も少なくありません。どんな状況に置かれているのでしょうか。

 Q 日系ブラジル人とは、どんな人たち?

 A かつて日本からブラジルへ移住し、ブラジル国籍や永住権を取得した人と、その子孫たちのことをさす。最初に移住した人を日系1世と呼び、その子が日系2世、孫が日系3世。日系3世の子が日系4世だ。

 Q どんな背景があるの?

 A 1908年、ブラジルへの移民が始まった。日本は日露戦争後の不況で失業者があふれ、ブラジルではコーヒー農園などで労働力が不足していた。国は渡航費を援助して移民を奨励し、戦前・戦後を通じて約26万人が海を渡った。

 一方、バブル期で日本国内の人手不足が深刻化した90年、改正出入国管理法が施行され、3世までの日系人とその配偶者らが定住して働けるようになった。経済危機に陥っていたブラジルから多くの日系人が日本にやってきて、自動車の部品や弁当工場などで働いた。

  • 連載「現場へ! 老いたデカセギ日系人」はこちらから

 Q 国内外に、どれくらいいるの?

 A 外務省によると、海外の日系人は約500万人で、ブラジルには最も多い約270万人が住んでいる。

 また、出入国在留管理庁によると、国内に住むブラジル人は約21万2千人。65歳以上のブラジル人は、95年には361人だったが、2024年には1万4745人と41倍に増えている。

86歳の日系2世、シゲコ・イチダ・トリイさん。5年前に亡くなった夫の遺骨は「ブラジルで納骨したい」と話す=2025年1月12日、群馬県大泉町、平山亜理撮影

 Q 日本では、どんな在留資格で滞在しているの?

 A 永住者と定住者で9割を…

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