39年前に福井市で女子中学生が殺害された事件をめぐり、服役を終えた男性のやり直しの裁判(再審)で、7月18日、無罪となる判決が言い渡されました。どんな事件なのでしょう。
Q 事件が起きたのは。
A 1986年3月19日の夜、福井市の市営住宅の一室で留守番をしていた中学3年(当時15)の女子生徒が殺された。灰皿で頭を殴られ、電気カーペットのコードで首を絞められ、顔や胸など約50カ所を刃物でめった突きにされていた。
Q 容疑者は。
A 事件から約1年後、当時21歳だった前川彰司さん(60)が逮捕された。「被害者とは会ったこともない」と一貫して容疑を否認したが、起訴された。捜査側は、前川さんの知人ら6人から「事件の夜、血の付いた前川さんを見た」といった供述を得ていた。
Q 裁判では。
A 90年の一審・福井地裁判決は無罪だった。だが、二審の名古屋高裁金沢支部は95年に懲役7年の逆転有罪判決を言い渡し、最高裁で確定した。
Q なぜ判断が分かれたのか。
A 前川さんと事件をつなぐ物証は認められず、知人らの供述が信用できるかどうかが争点となった。
一審は知人らの供述が変遷し、食い違いもあり、裏付けとなる客観的証拠もないことなどから、信用できないと判断した。
二審は、供述の変遷や食い違…