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外国メディア向けの記者会見に臨む趙兌烈(チョテヨル)外相=2024年12月18日、ソウル、貝瀬秋彦撮影

 22日の日中韓外相会談に出席する韓国の趙兌烈(チョテヨル)外相が訪日を前に、朝日新聞の質問に文書で回答した。全文は以下のとおり。

  • 日韓60年、協力は「必要不可欠」 未来志向で共に努力 韓国外相

チョ・テヨル 1955年生まれ。79年、韓国外務省(当時)入省。外交省第2次官、国連大使などを経て2024年1月から現職。

 ――趙外相は著書で、1979年に外務省(当時)に入省した当時の須之部量三・駐韓大使との逸話に触れています。対日外交の原点となる経験かと思いますが、日本と韓国の基本的な関係はどうあるべきだと思いますか。日本の政府や政治家は韓国に、韓国の政府や政治家は日本にどのように向き合うべきだと思われますか。

 当時の須之部大使が新人外交官の私にみせてくださった配慮と誠心誠意の態度の中に韓日関係が明るい未来に向かうカギがあると考えます。

 日本人の方から先に過去の歴史による韓国人のつらい思いに寄り添い、手をさしのべたら、韓国人は間違いなくその手を取り、未来に向けてより大きな一歩を踏み出すことになるのだと思います。

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日韓21世紀委員会・須之部量三座長(左、元駐韓大使)からの報告書に目を通す海部俊樹首相=1991年1月、首相官邸

 韓日両国は、自由・人権・法治(法の支配)の普遍的価値を共有する最も近い隣国であり、安全保障や経済などあらゆる分野で共同の利益を追求する大切な協力パートナーです。

 特に、地政学的環境が地殻変動にさらされている昨今の厳しい国際情勢の下で、両国間の協力は選択ではなく必要不可欠であるということを両国の国民がしっかりと認識しなければなりません。

 そのためには、特に、両国の政治家による共同のビジョンと努力が何より重要ですが、現実が期待に及んでいないのではないかと思います。「政争は水際で止めなければならない」とした約80年前のバンデンバーグ米上院議員の名言を肝に銘じる時であると考えます。

元徴用工問題 韓国政府の方針は維持される?

 ――尹錫悦(ユンソンニョル)政権下で日本との関係は改善しましたが、今後の韓国の政局は不透明です。元徴用工問題の第三者弁済など、尹政権の方針は今後も維持されるのでしょうか。仮に政権が変わった場合に、方針が変わる可能性はあるのでしょうか。

 2023年、韓国政府が取っ…

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