一力遼名人(28)=棋聖・天元・本因坊と合わせ四冠=に芝野虎丸十段(25)が挑戦している第50期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第2局は4日、長野県高山村の旅館「緑霞山宿 藤井荘」で前日から打ち継がれる。

 名人の先勝で開幕したシリーズの方向性を占う「GAME2」。挑戦者の黒番で始まった一局は、両者とも布石を端折って戦端を開く超速の戦いに突き進んだ。形勢不明のまま激戦突入の予感を漂わせ、127手目を挑戦者が封じて打ち掛けに。1日目としては、両者による前期第2局などの120手を上回る名人戦史上最長手数となった。

 消費時間は名人3時間44分、挑戦者3時間51分。対局は4日午前9時に再開され、夜までに終局する見込み。朝日新聞のデジタル版では、七番勝負の模様をタイムラインで徹底詳報する。

【囲碁ライブ】一力遼名人ー芝野虎丸十段【第50期囲碁名人戦第2局2日目】(終局後、ライブ録画は囲碁将棋TVのメンバー限定になります)

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第2局総括

たった一つの勝ち筋、力でたぐり寄せた 張栩九段の目

 一力は今、人類最高レベルの読みの深さと精度で戦っている。芝野は限りなく対等に近い力を持った棋士ではあるけれど、読み勝っている一力に圧倒的な力を感じるのだ。強い棋士が「ついていけない」と驚く精度は、やはり人間業ではない。

 強い棋士ばかりを相手に公式戦13連勝という状態は、逆に言えば芝野以外の棋士にはなかなか止められない状況だとも思う。

 本局も形勢のバランスを保つ難しさを抱えながら、腕力でねじ伏せた。芝野は非常に隙がなく、優勢から勝ちまで持っていく技術は最高水準にあると思う。もちろん本局にもミスがあったが「自分ならあのミスはしない」と言える棋士は今、世界に何人いるのだろうか。互角に近い局面で戦いが始まった本局でも部分的に言えることだが、逆転の第1局も一力はたった一筋しかないかもしれない勝ち筋を力で手繰り寄せた。驚異的だと思った。

立会人の張栩九段=2025年9月4日午後10時16分、長野県高山村の藤井荘、北野新太撮影

 本局の両者はAIが示す最善手を打ち続けたけれど、AIも評価値などでのブレはあった。一力の正確無比さはブレを知らず、時としてAIを超えていた。ちょっと人間ではないとも思った。

 2日目に少し(積極手を)打…

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