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街頭で募金を呼びかける西村花音さん(手前)ら=2024年4月20日午後12時43分、仙台市青葉区のJR仙台駅西口
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 親が亡くなったり、障害で働けなかったりする学生向けに支援団体が給付する奨学金を、希望してももらえない学生が増えている。物価高を背景に受給の申請が急増し、資金が不足しているためだ。この週末、街頭で学生が窮状を訴えた。

 「皆様の募金が大きな力となって進学の夢を叶えます。ご協力をよろしくお願いします!」。20日午後、週末でにぎわうJR仙台駅前。募金箱を持った大学生や高校生のボランティアが行き交う人たちに訴えた。

 その1人、東北芸術工科大学(山形市)4年の西村花音さん(23)は、母子家庭で育った。母は病を抱え、妹には障害もあった。周りからは「大学には行けない」と言われ、高校を中退。だが、奨学金を知り、大学進学をあきらめずに済んだ。

 大学では文化財の保存や修復について学び、将来は人と関わり合いの多い仕事に就く夢も描いている。「私と同じように、家庭の事情で苦しむ子供たちに夢をあきらめてほしくない。『可能性があって挑戦できるよ』『応援してくれる人がいるよ』と伝えたい」

 奨学金を給付している一般財団法人「あしなが育英会」(東京都千代田区)によると、この4月に高校生になった生徒が中学3年時に対象だった高校奨学金の枠には、全国から過去最多の1800人が申請した。過去最多だった2008年度より285人も多かった。

 高校生が在学中に申請する枠と合わせても、22年度は1934人、23年度は2629人と急増。今年度は2800人ほどになる見込みだ。

 申請増の背景は、物価高に伴い、生活困窮が深刻になっていることにある。育英会はこれに合わせ、昨年度から高校奨学金を月額3万円の給付型にしたところ、一気に申請数が跳ね上がった。これまでは一部が返済の必要な貸与だったため、困窮者でも一定の借り控えがあったとみられる。

 育英会は申請の増加に合わせ…

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