俳優の星田英利さん=東京都新宿区、伊藤菜々子撮影

 人気お笑い芸人「ほっしゃん。」から俳優に転じ、本名に戻って10年になる。星田英利さん、53歳。先月には、コロナ下に書いた初の小説が出版された。華麗なる転身? どうやらそうではないらしい。ちょっと意外な素顔の裏には、その心を支える大切な言葉があった。

 芸人から俳優、そして本名に戻ったのはなぜか。「そろそろ野生に戻ろうかなと。自分を解放してあげようかなと」。不器用で、もだえ苦しんだ末、等身大の人生を歩き始めたのだ。

顔色うかがう優等生に父は……

 小学校低学年のころ、親や先生の顔色をうかがう優等生だった。誰にも迷惑をかけず、怒られないようにと心がけていた。それを父親に風呂場で打ち明けた。父はこう言った。

 「そもそも人間って、生まれ…

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