打席に立った本間主将に声援を送る姉の彩香さん(左)=2025年8月19日、阪神甲子園球場、山本達洋撮影

(23日、第107回全国高校野球選手権大会決勝 沖縄尚学3―1日大三)

 日大三(西東京)は14年ぶりの夏の甲子園での優勝をめざした。

 主将の本間律輝選手(3年)は一回1死二塁から先制の適時二塁打を放った。

 「打てなかった時期もあったから、決勝で打てて喜んでいると思う」

 そう話す姉・彩香さん(28)は日大三の吹奏楽部長だった。甲子園での演奏を聴いて、本間主将は日大三を選んだ。

 決勝のアルプス席で、彩香さんは特別な思いで試合を見つめた。

あの夏がきっかけだったよね

 律輝と初めて一緒に甲子園に来たのは2011年夏。律輝は4歳で、私は日大三中学校の吹奏楽部の2年生だった。

 あの時は今ほど暑くなかったけど、それでも大粒の汗を流しながら、私は必死にクラリネットを吹いていた。

 そんな姿を、律輝は近くで目を輝かせて見てたよね。

 あの年、日大三は甲子園で優勝した。

 実は私、野球のルールをあまり知らなかった。でも自分の学校の日本一に感動して、涙が止まらなかった。

 決勝だけ甲子園に来られなかった律輝は「家のテレビの前で試合に釘付けになっていた」って、後でお母さんから聞いたよ。

 律輝が「おれも野球やりたいかも」と言い出したのは、あの夏がきっかけだったよね。

 小学2年生で地元の野球クラブに入ってからは、よくお父さんと公園でキャッチボールをしていたよね。

 私も何回か一緒に、バッティングセンターに行ったっけ。私は球技が苦手だから全然打てなかったけれど、振る度に球が当たる律輝を見ながら、「すごいな」「頑張って練習しているんだな」と誇らしく思っていた。

 「日大三に入って、野球をする」。いつしかそれが、家族全員の目標になった。

 入学が決まった日は家族みん…

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