節分の日の2日、高千穂町に「鬼」が現れた。
高千穂あまてらす鉄道(あま鉄)の天岩戸駅。正午過ぎ。観光客を乗せた「列車」(スーパーカート)がホームに近づくと、待合所から2人の「鬼」が飛び出て、大声で待ったをかけた。
「ここはワシの縄張りだ! 人間どもは出て行け!」。模造刀を振り上げ、いまにも襲いかかろうとしたその瞬間、乗客が集中砲火のように豆をぶつけ始めた。
逃げる鬼、飛び散る豆。観光客は大喜び。鬼が「降参」と言ってホームに倒れ込むと、カートは発車。くすくす笑う声を残し、ゆっくりとあま鉄最大の見どころ、高千穂鉄橋を渡り始めた。
イベントは県立高千穂高とあま鉄が組んだ探究学習の一環。山間部にある高千穂の冬は寒く、どうしても客足が鈍る。この課題を解決するため「集客の一助に」と2年生11人が節分に合わせて「鬼退治」を仕掛けた。
鬼を務めたのは普通科の菊池健吾さん(16)。「楽しんでくれたかな? 今後も話題を作ってあま鉄を盛り上げたい」。もう1人の鬼、専務の斉藤拓由さん(50)も「生徒が地元の魅力を学ぶお手伝いができたら」と話した。