環境問題に関する国際ルールづくりに政府が本腰を入れる。背景にあるのは、欧米の後塵(こうじん)を拝した苦い経験だ。環境配慮と経済活動が不可分になる中、ルールをつくる側にいなければ好循環も生み出しにくい。

船で輸出される自動車=2020年9月、神奈川県横須賀市稲岡町
  • 水リスクやリサイクル、政府が国際ルール主導へ 市場競争力強化狙う

 「我が国が主導して国際ルール化を進めることはグローバル戦略としても非常に重要」。4月、政府の経済財政諮問会議で経団連の十倉雅和会長はこう述べた。環境やエネルギー産業に触れ、「グリーン分野を含めた国際ルールの形成」が「極めて重要」だと訴えた。

 産業界からこうした発言がでるのは、気候変動対策と経済活動が切り離せなくなってきたからだ。

 2015年にできた温暖化対策の国際ルール「パリ協定」のもと、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えるための手段として、再生可能エネルギーや水素、電気自動車(EV)など、様々な技術開発が進む。これを社会に広げる際には巨額の資金が動くと予想される。国際エネルギー機関(IEA)は、1.5度目標の達成に約8千兆円が必要だと試算する。

排ガス規制、環境配慮などが国益に

 世界的な潮流に対し、欧米はしたたかに動いてきた。

 環境政策に力を入れる米バイ…

共有
Exit mobile version