【石川】野々市市教育委員会は4日、「重大事態」と判断した市立中学校でのいじめについて、弁護士らでつくる調査委員会がまとめた報告書を公開した。学校側の対応の遅れやSNSに関する問題意識の低さなどを指摘し、改善を求めている。
報告書によると、2023年度の1学期、3年の生徒が修学旅行の班決めで仲間外れにされるなどして、心理的苦痛から夏に転校した。調査委がいじめと認定した行為11件の多くはインスタグラムやライン、ツイッターを使ってなされていた。
調査委は報告書で学校側の対応の問題点も指摘。4月下旬にはいじめを把握していながら加害生徒らへの聞き取りなどを早期にしなかった▽SNSでのうわさや悪評の拡散に被害生徒が不安を覚えていたのに、実際の投稿内容の確認や、閲覧可能だった生徒への注意喚起をしなかった▽担任が、加害生徒に関して事実に反する内容を被害生徒に伝えた――といったことを挙げ、SNSを利用したいじめ内容の正確な把握などを提言した。
市教委は4日、市内の小中学校の校長・教頭を集めた臨時の会議を開き、再発防止策を説明した。冒頭、大久保邦彦教育長は「被害生徒とご家族が苦しく悔しく切ない思いを抱いてこられたことに対して、誠に申し訳なく思っている」と述べた。市教委によると、被害生徒側からは「二度とこのようなことが起こらないように対策を」と伝えられたという。
報告書は10月3日まで、市のホームページや教育総務課の窓口で公開する。