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写真・図版
脱線現場から移される車両=千葉県いすみ市苅谷、いすみ鉄道提供

 いすみ鉄道(千葉県大多喜町)の2024年度決算は、最終的なもうけを示す純損益が1億484万円の赤字(前年は2365万円の赤字)で、赤字幅が過去最大だった。昨年10月の脱線事故から全線運休が続いていることで収益が大幅に悪化し、負債が資産を上回る債務超過に創業以来初めて転落した。

 売上高は前年比29%減の7547万円、本業のもうけを示す営業損益は4億8602万円の赤字(前年は3億6040万円の赤字)だった。全線運休で主力の鉄道事業の収益が3割超減った上、代行バスの運行費用や線路の修繕費用がかさみ、赤字が膨らんだ。

 第三セクターの同社は慢性的な赤字体質で、県と大多喜町やいすみ市など4市町の補助金でなんとか存続してきた。しかし、全線運休による損失はカバーしきれず、25年3月末時点で7013万円の債務超過に陥った。今後の復旧費用は14億5千万円にのぼる見通しで、同社は県などにさらなる補助金の拠出を求めているが、経営再建の道筋を描けるかが課題になっている。

 同社は、通学利用者の多い東側の大原(いすみ市)―大多喜(大多喜町)について、27年秋ごろまでの運転再開をめざす。25年度と26年度は通期で全線運休が続くため、さらなる業績悪化が予想される。

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