新聞を広げる中川晟心さん

 朝7時。食事を終えてリビングに入ると、テーブルに置かれた新聞を開く。インクのにおいが、ふわっと広がる。中川晟心(せな)さん(13)が真っ先に開くのはスポーツ面。そこにはいつも夢の世界が広がっている。

 幼稚園のころから大津市の児童養護施設で暮らす。小学校低学年の時、職員の林康次郎さん(46)と始めたキャッチボールをきっかけに野球に興味を持った。施設に毎日届く新聞で野球の記事を探すようになったのも、そのころだ。

 3年生のころだったか、プロ野球観戦の招待が施設に届き、晟心さんは林さんに連れられ京セラドーム大阪へ行った。応援した球団は当初は大敗かと思われた試合を逆転サヨナラ勝ち。一気に球団のファンになり、野球にのめり込んだ。

 施設に暮らしながら少年野球…

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