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秋田県

 第107回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場した秋田代表の金足農は、6日の沖縄尚学戦に0―1で敗れ、昨夏に続いて1回戦で姿を消した。投手戦となって、それぞれの安打数は3本と4本。試合時間は1時間40分という引き締まった展開の中で、少ないチャンスを生かせたかどうかの差だった。

 試合後、アルプス席へのあいさつを終えると、エース吉田大輝投手(3年)はグラウンドに泣き崩れた。右太ももの状態に不安が残り、3番手で登板。自己最速の147キロを記録しながら、七回に3安打を許すなどして決勝点を奪われた。

 「チームに申し訳ない」。吉田投手は自分を責めた。だが、9回を通してみれば1失点。試合は、「継投策でいく」と覚悟を決めた中泉一豊監督のプラン通りだった。

 先発の斎藤遼夢投手(2年)が四回まで快投した。2番手の佐藤凌玖投手(3年)が五回、バックの失策絡みで2死三塁を背負うと、踏ん切りよく吉田投手を投入。「1点もやりたくなかったので、エースに託した」という監督の期待に、吉田投手は応えた。

 六回まで3投手で沖縄尚学を無安打に封じ、終盤勝負に。七回にあやがあったかもしれない。3番打者の薮田龍人選手(3年)が1死後、左前安打で出た。だが、後続に快音が響かない。吉田投手の失点は、その裏だ。

 金足農は、相手エース左腕の140キロ台直球と、速く鋭い変化球に最後まで四苦八苦。14三振と攻略しきれなかった。

 打線低調の中で薮田選手はチーム3安打のうち2本を放った。「必ず甘い球はくる。それを捉えようと思った」。七回の一打がそうだったという。

 「ずっと感じていることだが、打線の底上げが必要」と中泉監督。課題がいっそう浮かび上がった惜敗といえた。

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