男性が死刑執行の翌日の心情を書いた日記。「おそろしいとこや、ここは」「何事もなかったかのように、同じ1日が過ぎていく」などと書かれている=2025年3月23日午後7時14分、大阪市内、大滝哲彰撮影

 死刑の執行を当日朝に本人に告げる。そんな運用が違憲かどうか争われている裁判で、一人の死刑囚が独房から連れ出されていく様子の具体的な証言が、書面で提出されることがわかった。目撃した男性(36)が朝日新聞の取材に応じた。

 その朝はいつもと違った。2021年12月21日、大阪拘置所。午前7時半の起床のチャイムが鳴った。

 布団をたたみ、自分の部屋の掃除をする。顔を洗ったら朝食が運ばれてくる、はずだった。

 薄暗い廊下は、いつも以上に静かだった。「何でやろ?」と思っていると、運動場につながる扉が勢いよく開いた。

 ダッダッダッダッ。革靴が廊下をはじく音が響く。刑務官が何人も入ってきた。

薄暗い廊下、いくつも光った赤いランプ

 はす向かいには「単独開扉禁…

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