Smiley face
写真・図版
いわき信用組合の本店=2025年5月7日、福島県いわき市、沢伸也撮影

 不良債権隠しなどを目的にした不正融資を繰り返していた「いわき信用組合」(福島県いわき市)に対し、東北財務局が業務改善命令を出した。いわき信組には「震災復興」名目で多額の公的資金が注入されており、不正を見逃した金融庁の責任は重い。地域金融機関を対象とした制度の延長論にも課題が突きつけられた。

 「被災地とはまるで関係がない。これは犯罪だ」。金融庁幹部は、いわき信組の不正を衝撃をもって受け止めた。

 いわき信組は2012年1月、金融機能強化法に設けられた「震災特例」に基づき、公的資金175億円の注入を受けた。全国信用協同組合連合会(全信組連)も25億円の資本増強を実施した。

 経営基盤の強化のために公的資金を受ける金融機関は、通常は返済計画を立てる。だが、震災特例では返済計画は猶予され、経営責任や収益目標の設定も求められない。東日本大震災で被災した地域企業の資金繰りを支えるための特例措置だ。

現行法は来年3月に期限切れ

 その代わりとして、金融庁の…

共有