四国に三つしかない高校馬術部の一つに、草創から30年以上関わっている女性がいる。愛媛県立北宇和高校の馬術部監督、山中瑞穂さん。子どもの頃の「夢のまた夢」が実現したという。
乗馬クラブに手紙
――馬との出会いは
幼少のころから馬が好きで、うまうま、うまうま言ってたらしいです。写真やテレビで馬を見て、「きれい」「素敵」と思って。心を通わせて人間を乗せて駆け巡ってくれるというのにすごく憧れて、いつか乗ってみたいと。
父が大学で馬術部だったんです。初めて乗ったのは、中学校の修学旅行で行った阿蘇の草千里。興奮して3日くらい夢に出てきましたね。
基本を学びたいと中学生の時、祖父母が住んでいた東京の乗馬クラブ5、6カ所に「教えていただけませんか」という手紙を出したんです。2カ所は断られ、あとは返事も無かった。
がっくりきていると、競走馬の牧場に関係があったおじの友人が、「那須(栃木県)にある牧場で雑用や馬の世話をして、最後にちょっと乗せてもらうのを頼んであげる」と言ってくれて。
冬休みか春休みに宇和島から1人で那須へ行き、1週間たらずでしたけど、一生懸命お手伝いしました。「お嬢」って呼ばれて、皆さんにすごくかわいがっていただいて。高校の夏休みにも行き、今度は2週間くらい手伝いました。
高校生の時に宇和島に乗馬クラブができ、会員になって乗り始めました。「もっと習いたい」という思いがどんどん膨らみ、やっぱり大学の馬術部しかないと。馬術部があって理系で受けられ、伝統がある学校が良いと調べて3校くらい受け、麻布獣医科大学(現・麻布大学)に入りました。
■教室より厩舎…