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「大長編 タローマン 万博大爆発」の主人公タローマン(右) 黄色がかった画面が1970年代のテレビ特撮風 (C)2025『大長編 タローマン 万博大爆発』製作委員会

 マイナスに飛び込めって言われても難しいですよね、ついついプラスに飛び出しちゃう。22日公開の映画「大長編 タローマン 万博大爆発」は、そんな映画です(なんだそれは?)。

 2022年にEテレで放送された5分間番組「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」は衝撃的な面白さでした。「1972年に作られた『タローマン』という幻の特撮作品を2022年に発掘・再放送した」という設定で、造形もお話もお芝居も映像も70年代テレビ特撮を徹底的に(誇張して)模倣。円谷特撮が大好きな息子(22年当時は大学生)に何にも言わずに見せたらまんまとダマされてました。あっはっは。

 黄金に光る太陽のマスクと銀色の体の巨人タローマンが、岡本太郎の作品をモチーフとした「奇獣」と戦い必殺技「芸術は爆発だ!」でやっつける――ということになってますが、タローマンは「でたらめ」で「べらぼう」なので自由気まぐれへそ曲がり。ぐうたらしたり投げっぱなしだったり。

 私が考えるに、成功の理由は四つ。岡本太郎がガンガン活躍していた70年代はテレビ特撮が最も量産されていた時代で、「特撮×70年代」のマッチングのよさが一つ目。「TAROMAN」では、光線のエフェクトが手描き風だったり、合成がバレバレ(境目がチリチリする)だったり、衣装が既製品の半端な改造だったり。「特撮は70年代だ!」は世代を超えた必殺技です。21世紀生まれの息子がヤラレたのがその証明です。

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「大長編 タローマン 万博大爆発」から。奇獣たちも参戦!

 二つ目は、岡本太郎作品の怪…

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