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完成した「あぶってかも」。内臓の塩気がほどよい=2024年7月3日午後3時19分、福岡市中央区、榎本瑞希撮影
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 「かも」が多い名物だ。スズメダイをうろこや内臓ごと塩焼きにした逸品。その名も「あぶってかも」という。

 「博多ふる里割烹(かっぽう) 魚村(ぎょそん)」(福岡市中央区)の店主の日野孝治さん(63)は主に4~6月、同級生の漁師や市場から仕入れる。7月ごろまで食べられるが、「旬の時期も電話予約がおすすめ。あるかもしれないし、ないかもしれない」。出張者の接待などに人気のメニューだという。

 調理を見せてもらった。取り出したのは体長13センチ、丸くコロンとしたスズメダイ。粗塩をまぶして1日寝かせ、冷凍保存していたものだ。

 グリルで火を通すと、じゅわっと脂が滴った。うろこにきれいな焦げ目がついたら完成だ。

 さぁ、かもう。うろこはパリパリとノリのような歯触り。身はほろほろでクセがない。内臓も塩加減が絶妙でさわやかだ。頭も「食べられるかも」と日野さんに言われ、最後にひょいと口に入れてみた。かみしめるとギュッと骨が崩れ、滋味深い。ぺろっと2匹がおなかに入った。

 「『あぶって、かもう』という意味らしいですね」。厨房(ちゅうぼう)から日野さんが言った。カモの味がする、との説もある。

 スズキ目スズメダイ科のスズ…

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