虐待されている子どもや、家族の介護や世話をする子ども「ヤングケアラー」を発見、保護するために、大分市は子ども自身が気軽に相談できる手紙「こころ勇気レター」の配布を決めた。小中学生へは、12月上旬に学校を通じて配布する。
こころ勇気レターは、子どもが相談したいことを書いて折り畳むとそのまま封筒になり、ポストに投函(とうかん)すれば大分市子育て支援課の中央子ども家庭支援センターに届く。
レターの説明書には、子ども自身が、どのようなことが虐待や、ヤングケアラーにあたる行為なのか気付けるように、具体的な例が書かれてある。虐待は「たたかれる、けられる、外にしめ出される」「ご飯を食べさせてもらえない、病院に連れて行ってくれない」「大声で怒鳴られる、ひどい言葉を言われる、家の人がけんかばかりしている」「嫌なのに体を触られる、性的な行為や動画・写真を見せられる」など。
ヤングケアラーは「傷害や病気のある家族に代わり、買い物・料理・掃除・洗濯などの家事をしている」「家計を支えるために労働をして、障害や病気のある家族を助けている」「アルコールなどの問題や精神疾患を抱える家族に対応している」などで、子どもが理解しやすいようイラスト入りで示している。
勇気レター送付後に、支援センターと連絡をとる方法も子どもが選ぶことができる。「学校で会う」や「電話」「メール」などの選択肢がレターにあり、妨害されること無く安全に相談できるよう工夫されている。
相談を受けた子ども家庭支援センターは速やかに子どもと面談し、保護者面談や児童相談所との連携、学校による見守りなどの対応ができるようにしているという。配布先は小、中、高校と特別支援学校の計128校で、約5万5千部を配る。(神崎卓征)