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鈴木義孝さんの指導の下、練習に励む「上山こまくさ」の団員=2025年8月20日、山形県上山市、斎藤徹撮影

 女声合唱の祭典「全日本おかあさんコーラス全国大会」(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催、キユーピー協賛)が23、24の両日、山形市のやまぎん県民ホールで開かれる。大トリを務めるのが、東北支部代表の「女声合唱団上山こまくさ」。山形で初の全国大会開催に、練習も熱を帯びる。

 20日、上山城の模擬天守のふもとの公民館に、哀切に満ちた女声が響いていた。

 30人の団員は60~80代で、平均年齢75歳。歌声は瑞々(みずみず)しさをたたえ、力強さも併せ持っている。「みんな気持ちが若くて明るいのがとりえ。週1回の練習は内容が濃く厳しくもありますが、仲良く切磋琢磨(せっさたくま)しています」と代表の山田澄子さん(75)は言う。

 合唱団は1957年、上山市立上山小のPTA活動として始まり、定期演奏会や地元音楽祭に多数出演。84年には鈴木義孝さん(73)を指揮者に迎え、これまでに5回の全国大会出場を果たしてきた、山形を代表する女声合唱団だ。

 念願の地元初開催となる今大会で演奏するのは、合唱団オリジナル委嘱曲「女声合唱とピアノのための『あはれこの世~源氏物語によせて~』」(紫式部原作、鈴木久美子さん作詩、峯田博子さん作曲)からの2曲。幼い我が子から引き離された母親の思いを切々と歌う「いとしき吾子(あこ)よ~明石の君 みをつくし~」と、いまわの際に華麗な生涯や最愛の女性を回想するやんごとなき人の心情を表現した「春までの命も知らず~光源氏 辞世~」だ。

 団員たちは「源氏物語」を読み解き、古語の行間からにじみ出る情感をくみ取り、歌声として表現することに努めてきた。昨年放映のNHK大河ドラマ「光る君へ」も参考にした。

 指揮の鈴木さんは「曲ごとに求められる声が異なる難曲。歌の中の主人公がどんな思いでいるのかをみんなで探りながら、音をつくりあげていった」と話す。

 山田さんは「聴いてくださるみなさんに、曲が持つ心を届けたい。『源氏物語』の奥深さの一端を伝えられたら」と意気込む。

 今大会は全国から支部大会を勝ち上がるなどした68団体が出場し、「上山こまくさ」は68番目に登場する。県内からは「コラール・ド・めざみ」「コールファンタジー」「こーる・ふろーら」の、計4団体が出場する。

 県合唱連盟理事長でもある鈴木さんは、今大会の実行委員長を務める。「合唱だけでなく、踊りや小道具などいろんな表現形態が登場するのがおかあさんコーラスの魅力。ぜひ、多様なパフォーマンスを楽しんでほしい」と来場を呼びかけている。

 開演は23、24日とも午前10時から。当日券2700円。詳しくは全日本合唱連盟のホームページ(https://jcanet.or.jp/event/mother/index.htm別ウインドウで開きます)で。

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