米ホワイトハウスで2025年2月10日、アルミニウムの輸入に対する関税の大統領令を掲げるトランプ大統領=ロイター

 今月9日、日曜日の午後。水を張った鍋に昆布を沈め、別の鍋で輪切りにした大根を下ゆでした。その後、米首都ワシントン近郊の自宅から、車を30分走らせ、最近できた日本食品のスーパーへ。ちくわ、こんにゃく、さつまあげなど、おでんの具材を次々にカートに放り込む。

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 ちゃんとした夕飯をつくるのはいつ以来だろうか。帰り道、ハンドルを握りながらふと思った。

 ワシントン駐在記者の私は、米国の経済政策の取材を担当している。トランプ大統領が1月20日に就任して以来の1カ月間は、人生で最も多忙を極めた期間だった。

 思い返せば、波乱は就任初日から始まった。

 2月1日に、カナダとメキシコに25%の関税をかける――。トランプ氏は早速、記者団にこうぶち上げた。「脅しで、実行はない」。そんな見立てもあった。だが、第1次政権の元貿易交渉官が私に語った言葉が不意によみがえった。

 「彼は有言実行の男だ」

 2月1日、トランプ氏はこの…

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