関西学院大学の松井広志准教授

 かつておもちゃは「子どもが遊ぶもの」でした。いまは大人も楽しむ時代に。

 関西学院大学の松井広志准教授(社会学)は「おもちゃは大人の心を守ってくれる貴重な存在」と言います。大人はおもちゃに何を見いだしているのでしょうか。

ミニ四駆、リカちゃん、たまごっち…再ブーム

 オランダの歴史家ホイジンガが「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」という言葉を唱えたように、人間とはそもそも「遊ぶ存在」だという議論があります。大人だって元々、おもちゃで遊べば楽しいものです。

 昭和でも「ガンプラ」やビデオゲームで遊ぶ大人はいました。当時は、大人の趣味はゴルフや手芸、車などという固定観念があり、「大の大人がおもちゃなんて」と批判される時代でした。おもちゃは百貨店でも子ども向け売り場に置かれ、子どもで卒業するべきものだとされていました。

 それは、大人は働いて公的なものに貢献する、子どもは私的に遊ぶ、という社会規範が近代に構築されてきたからです。その「大人/子ども」という二項区分が近年、崩れてきました。

 「子どものもの」と分類され…

共有
Exit mobile version