Smiley face
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買い物かごを持つ長男=たきれいさん提供
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 「子を産んで母になるまで、育児を甘く見ていました」

 高1の長女と中2の長男、小4の次男を育てているイラストレーターたきれいさんは、そう振り返る。

 「親が無くとも子は育つ」なんて思っていたけど、とんでもない。

 衣食住の提供以上に、子どもたちの気持ちに向き合うことが大変だ。

 昭和と令和では価値観も違うから、自分の考えを押しつけてはいけない。

 ちゃんと話を聞いて、自分の思いも伝えて、お互いが納得できるように、と心がけている。

 ところで、育児っていつ終わるのだろうか?

 もし、大人になってもずっと一緒に暮らし続けることになったら……。

 時々、そんなことを考えてしまう。

買い物に行った帰り道で

 中2の長男はしっかりもので、自分で決めたルールは絶対に守ろうとする性格。

 1年ほど前から料理にはまっていて、カロリー計算もする。

 数あるレパートリーの中でも、「親子丼」は絶品だ。

 卵の半熟具合が絶妙で、刻んだ小ネギをまぶした出来上がりも美しい。

 インスタグラムに投稿したことはないけれど、きっと映えるに違いない。

    ◇

 7月下旬、そんな長男とスーパーへ買い物に行った帰り道。

 自宅の駐車場は50メートルほど離れたところにあるため、家まで2人で荷物を持って歩いた。

 車から降りて、牛乳が何本も入った重い方の買い物バッグに手をかけたところ、長男が「持つよ」と言った。

 彼は幼い頃から手の皮膚が弱く、すぐにひび割れてしまうため、これまで重い荷物を頼んだことはない。

 「重いからママが持つよ」と伝えたところ、思いがけない言葉が返ってきた。

 シンプルにひと言だけ、「だ…

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