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大阪公立大学の岡沢亮介准教授。M―1グランプリは好きで毎回見ているという。ただ、研究対象としては、20回分しかなく「サンプルが少なすぎる」=2025年4月30日、大阪市の阪公大、藤谷和広撮影

 お笑いコンテストでは、1番手が有利? お笑いに詳しい人ほど反発したくなる研究結果を、大阪公立大学の研究チームが発表した。実は、漫才師の頂点を決めるあの大会での傾向とも矛盾はないという。どういうことなのか。

 阪公大の岡沢亮介准教授(経済学)らが今回の成果を導いたのは、NHKの「爆笑オンエアバトル」と「オンバト+」。爆笑オンエアバトルは1999年から2010年、オンバト+は10年から14年に放送されたお笑いコンテスト番組で、毎回、10組のタレントがくじ順でネタを披露し、審査員100人の票を多く集めた上位5組のネタが放送されるのが基本的な構成だ。「史上最もシビアなお笑い番組」とうたわれた。

 岡沢さんは数年前、約500回分の全ての結果が掲載されたウェブサイトを見つけた。番組の公式ガイドブックとも照らし合わせ、信憑(しんぴょう)性が高いと判断。その結果を分析した。

 同じ形式で実施された計478回分のデータから、1番手の得票率は2番手以降と比べ、約5~10%高いことがわかった。1番手が上位5以内に入る確率は、2番手以降より約15~20%高かった。

 これは、審査の自由度を残すために、初めは無難で平均的な評価を与える「カリブレーション効果」の影響と考えられた。全体の平均得票率も60%以上と票が入りやすい状況のなか、10組中5組が選ばれるという「競争率の低さ」によって、カリブレーション効果が1番手に有利にはたらいたことになる。

 審査員の目が肥えてくると…

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