Smiley face
写真・図版
商業高校フードグランプリで「来場者賞」を受賞した商業科ビジネスコースの5人。前列左から山田沙来さん、芦田千佳さん、後列左から小林彩さん、小塚翔さん、池田莉奈さん=2024年12月18日午後1時4分、千葉県市川市中国分、鈴木逸弘撮影
  • 写真・図版

 新たな商品の価値を提案しながら、社会的課題の解決策を探る高校生たちがいる。千葉商科大学付属高校(千葉県市川市)商業科の生徒たちのグループが、企業が廃棄していたお菓子の端材を活用して新たな商品を開発した。22日午前9時~午後3時、生徒たちが自ら「道の駅いちかわ」(同)の常設販売ブースの店頭に立つ。

 「食品ロスの問題が気になっていたので、廃棄していた食品を商品化できてうれしかった」

 商業科ビジネスコースの山田沙来(さら)さん(18)ら5人は今年度、食品ロスの削減をテーマに地元の洋菓子店「PONY(ポニー)」(松戸市)に連携を持ちかけた。飯島亮輔代表(32)と打ち合わせをする中で、これまで廃棄していたパイ生地の端材に着目。生地にピーナツペーストと、砕いたピーナツを加えた焼き菓子「Ps’(ピース)」の開発につなげた。千葉はピーナツの産地であることから、県産のピーナツの使用にもこだわった。

 濃厚なピーナツの風味と歯ごたえが特徴的で、校内の購買や街中のマルシェ、祭りの出店で販売するとすぐに売り切れるほど。リーダーの小塚翔さん(18)は「工場にも足を運び、どういう過程で工夫すればいいか考えながら商品の改良をした」と振り返る。通常のパイ生地は中に具を包んで焼くものだが、ペーストにつけて焼くため、焦げないように温度管理などの現場を見ながら、意見を出し合ったという。同世代に受け入れられるように、自分たちの感覚を信じて味の濃厚さやしっかりとした食感を意識した。

 「PONY(ポニー)」ではこれまで、パイ生地の端材を月間で20~30キロも廃棄していた。高校生らと様々なアイデアを交換するなかで商品化の可能性を探った。飯島代表は「商品にできなかったアイデアもあるが、高校生たちの好みや意見を聞くだけでも菓子作りの学びになった」。商業科の田名慧資(けいすけ)教諭(32)は「生徒が主体性をもって取り組めるようサポートしただけ」と生徒たちの積極性を評価した。

 11月に開催された「商業高校フードグランプリ」の本選に、同校のビジネスコースの中から「Ps’」だけが選出。予選通過した6商品のうち、試食・販売などを通じて会場の評価が最も高い品に贈られる「来場者賞」を受賞した。昨年も同じメンバーで同じ賞を受けたといい、生徒たちからは「お客さんに一番評価された賞でよかった」との声もあがった。

 市川市の「道の駅いちかわ」で常時販売中だが、年末の繁忙期などは品薄になることもあるという。80グラム入りで232円(税抜き)。

共有