練習する越谷北高校=2025年1月4日、埼玉県越谷市、オザワ部長撮影

 埼玉県立越谷北高校(同県越谷市)は県内有数の進学校でありながら、吹奏楽の実力校としても知られている。

 大編成のA部門で、西関東吹奏楽コンクール(西関東大会)に過去7回出場して金賞4回。2023、24年は連続で金賞を受賞し、悲願の全日本吹奏楽コンクール(全国大会)出場にも肉薄している。

 新部長に選ばれたユーフォニアム担当の野倉璃桜(りお)(2年)は昨年初めてコンクールメンバーに選ばれ、同9月には西関東大会に出場した。

 そんな璃桜は「高校に入学したころ、中学で燃え尽きてしまったので、もう吹奏楽はやめたいと思っていた」のだという。「でも、越谷北高校の演奏を聴くと『やっぱり吹奏楽しかない』と思い、入部したんです。全国大会出場を目標に頑張ってきて、昨年の西関東大会では演奏後に深い達成感と音楽の楽しさに浸りました。結果は金賞でしたが、代表には選ばれず、『これだけやっても届かないんだ……』と悔しさでいっぱいになりました。今年はその悔しさをバネにして、全国大会を目指したいです」と昨年を振り返る。

 璃桜の同級生で、打楽器のパートリーダーである上原あねらは、中学校の吹奏楽部では少人数バンドだったのだという。そのため、「もっと大きな編成で座奏やアンサンブルをしてみたかったし、A部門にも出てみたかった」と吹奏楽が盛んな越谷北高に入ったという。

 「中3のときは秋まで部活をしていたので、引退してから越谷北高校に入るために一生懸命勉強しました。昨年の西関東大会は個人的に初めての挑戦でしたが、パートで『どういう音色を作っていこうか』といったことをたくさん話し合い、いろいろな演奏を聴いてみたり、講師の先生に『本番ではどういうことを意識して演奏していますか?』と質問したりしながら練習を重ねました。本番は自信を持って演奏できたと思います。今年こそは全国大会に行きたいです」

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練習する越谷北高校=2025年1月4日、埼玉県越谷市、オザワ部長撮影

 3年生が大学入学共通テストや大学入試を控えたこの時期になると、下級生たちも自然と「勉強と部活の両立」について考えを巡らせるようになる。璃桜もあねらも「吹奏楽の甲子園」に出場することを夢見ているが、1年後には大学受験も控えている。

 璃桜は「将来、自立した生活が送れるように法律家になりたい」と考え、国公立大学の法学部を志望している。あねらは「建築系に興味がある」ということで、国立大学の理工学系学部への進学を考えている。

 ふたりは勉強と部活の両立をどのようにやってきたのだろうか?

 聞いてみると、ふたりとも予備校には通っていないという。

【連載】My吹部Seasons

吹奏楽作家のオザワ部長が各地の吹奏楽部を訪ねます。

文奏両立の秘訣 それは・・・

記念撮影する野倉璃桜部長(左)と上原あねらさん=2025年1月4日、埼玉県越谷市、オザワ部長撮影

 璃桜は「私はこれまでは部活…

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