「時をよむ」論説委員室から
19~20世紀の英国の政治家、ジェームズ・ブライスは「地方自治は民主政治の最良の学校」と著書『近代民主政治』で書いた。国ではなく地方としたのは、身近な問題で意見を反映させることが、政治参加の基本と考えたからだろう。
日本の現状はどうか。東京一極集中で地方は少子高齢化が加速し、自治体の機能や、自治の一翼を担う議会の存続も危うい。個人と政治をつなぐ民主主義の回路を取り戻すため、地方政治を再構築する時にきている。
衆参両院が地方分権の推進を求める決議をしたのは1993年。道路や橋といった社会基盤をつくる国主導の成長路線が一段落し、今後は地方が国を引っ張ろうという時代の波があった。
2000年に施行された地方…