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生保各社の経営者向け保険の当時のパンフレット。販売現場では節税メリットが強調されて売られるケースが目立った

 中小企業の経営者向け生命保険で、途中解約が増えている。主な生保8社の解約返戻金はここ4年で5割近くも増えた。背景には、保険に入ることで利益を圧縮して税負担を減らす、かつての「節税保険」ブームがある。企業に戻ったお金を狙い、再び保険を勧める生保も出てきた。

 経営者保険は、企業が加入し、経営者の死亡や病気の際に保険金がおりる。経営者の不測の事態に備えるため、主に中小企業が加入している。

 朝日新聞は、同種の保険を扱う主な生保に、解約返戻金の額を尋ねた。回答のあった日本生命や第一生命、明治安田生命など8社の合計は2023年度で1兆1555億円。20年度の7862億円より46%増えた。24年度も前年度並みか、それ以上となりそうだ。

 急増の要因の一つが、18年ごろにブームとなった「節税保険」だ。

 当時、経営者の死亡などに備えて企業が加入する定期保険の一部は、保険料の全額が経費扱いと認められ、課税の対象外だった。このため、保険の営業現場では、企業の経営者らに「保険料の支払いで利益を圧縮し、法人税負担を減らせる」との売り込みが横行。生保各社も商品を投入し、大きなブームとなった。

 たとえば当時の商品では、6…

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