■2冊のだいすきノート それからの家族
「また、来たよ」
8月2日の夕方、新潟県長岡市の河川敷。長岡まつり大花火大会の会場に到着したこうめいさん(41)は、心の中で亡き妻に呼びかけた。
横浜市でともに暮らし、スキルス胃がんのため5年あまり前に亡くなったみどりさん(当時32)だ。
2019年10月に吐血。市内の病院で胃がんと診断されたみどりさんは、治療を受けるため慶応大学病院に入院した。退院したらやりたいこととして、13項目のリストをタブレットに書き込んでいた。
実現できなかった目標
当時4歳の双子の娘で、入院中はなかなか会えない「こっちゃん」「もっちゃん」と一緒に料理をする、絵本をたくさん読む、大好きを毎日伝える、ハグする……。退院後、ほとんどのことを実行した。
でも、診断から3カ月ほど、20年1月に亡くなってしまったみどりさんが、実現できなかった目標があった。「長岡の花火大会にファミリーみんなで行く」だった。
みどりさんとこうめいさんは、13年に2人で、長岡花火を見にきていた。
首都圏で出会い、付き合い始めて約1年。長岡市内の大学を出ていたこうめいさんが、みどりさんを誘った。
ずっと生きていける。この人となら
河川敷にシートを敷き、枝豆などをつまみながら、夜空を見上げた。みどりさんは、ときどき枝豆を口からこぼしながら、次々と打ち上がる花火に向かい、すごいすごいと声を上げた。
この日も暑かったが、みどりさんは日中の待ち時間も含めて、笑顔を絶やさなかった。
この人となら、こんな風に、ずっと楽しく生きていける。思いを固めたこうめいさんは、約4週間後、みどりさんにプロポーズした。
2025年の今回は、こうめ…