2件の医療過誤について謝罪する神戸市立医療センター西市民病院の中村一郎病院長(中央)ら=2025年5月2日午後3時2分、神戸市役所、岡田健撮影

 神戸市立医療センター西市民病院は、がんを見落とす医療過誤が2件あり、2人の男性患者が死亡したと2日、記者会見し発表した。

 病院によると、1件目は2021年2月、神戸市内の60代患者が耳鼻咽喉(いんこう)科で右甲状腺腫瘍(しゅよう)の細胞検査を受けた。その際、細胞の検体不適正で検査結果が得られなかったのに、同科の主治医は再度の細胞検査や手術をしなかった。昨年9月の検査で甲状腺乳頭がんが進行していることが判明。10月に男性患者は亡くなった。

 病院は、21年に適切に検査が行われてがんが見つかっていたら完治した可能性が50%あり、その後再発しても10年生存率が80%あったと判断しているという。

 2件目は昨年9月、腹部大動脈瘤(りゅう)で経過観察中だった神戸市の70代患者に、循環器内科の主治医がコンピューター断層撮影(CT)検査を実施した。放射線科の医師は肺がんの可能性を示唆するコメントをリポートに記載したにもかかわらず、主治医はその部分を見落とした。同12月の検査で進行した肺がんと診断された。男性は今年2月に亡くなった。

 病院は、昨年9月に肺がんを発見しても手術など根治的治療はできなかったが、それでも薬物療法で延命を図ることはできたと判断しているという。

 病院によると、両件とも遺族に直接謝罪し、補償も含めて対応しているという。中村一郎病院長は「市民のみなさま、地域の医療機関、そして多くの関係者の方々の信頼を裏切る結果を招き、深くおわび申し上げます」と謝罪した。

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