標準的な治療法では効果がみられない患者にとっては、治験(臨床試験)が最後の希望となることもある。新薬の開発にも患者で効果と安全性を確かめる治験が欠かせない。ただ、治験に参加したいと思って病院を紹介されたのに、来院した人のうちたった15%しか参加できなかったというデータも。治験に参加するためのハードルはなぜ高いのか。
- 「ママ、痛くないよ!」病室で泣いた 16歳、おなかのがんと治験薬
治験のハードルの一つが、そもそも、どこの医療機関でどんな治験をやっているかわからないことだ。
自由診療の広告は街中や電車などいろんな場面で目に入ってくるのに、本当に必要としている人には大切な医療情報が届かない。そんな状況だ。
今年3月、内閣府規制改革推進会議のワーキンググループで、会議の専門委員を務める全国がん患者団体連合会の理事の桜井なおみさんは「治験は一生の中で1回ぐらいしか参加することができない。この情報の格差は生きる権利を規制で奪っていることにもつながりかねないのでは」と厳しく指摘した。
医療の広告は薬機法で厳しく制限され、承認前の医薬品の広告は禁止されている。治験募集と称した将来的な顧客の呼び込みにつながるおそれもあるためだ。そのため治験情報は、患者や医療者が自らの意思で検索しなければ情報にたどり着かない。
情報にたどり着けない…不親切な検索サイト
治験の情報は、誰でも見られる厚生労働省のサイト「臨床研究等提出・公開システム」(https://jrct.mhlw.go.jp/)で検索することができる。登録試験数は今年2月時点で約1万3千件ある。ただ、非常にわかりにくい。
例えばこのサイトの「対象疾…