力投する十日町の大平慎太朗投手=ハードオフ

 (21日、第107回全国高校野球選手権新潟大会準々決勝 十日町1―6関根学園)

 六回無死三塁のピンチで、先発の前川陽光(2年)からマウンドを託された十日町のエース大平慎太朗(3年)には、怖さも不安もなかった。こうした場面での起用は慣れており「自分の精いっぱいを出すだけ」と開き直って臨んだが、全力の直球を中堅に運ばれ4点目を許し、さらに2点を入れられた。

 それでも「仲間が声をかけ続けてくれたので、投げ切ることができた」。その後は無得点に抑えた。

けがとの戦いの高校生活

 けがとの戦いの高校野球生活だった。昨夏の大会の3日後に左ひじを痛め、春には左ももの肉離れに見舞われた。

 昨年のけがでは、3カ月間、野球ができなかった。「いろいろな人と出会い、野球に対する考えを広げることができた」と振り返る。ベンチに入らず、バックネット裏で練習試合を見学するうち、応援する地元の人たちとの交流が生まれた。「地域の人に応援してもらえる喜びを再確認できた。勝つことよりも大切な、今後にもつながるものが得られた」と振り返る。この日先発した前川に、その思いを引き継いでほしい。「来年こそは、前川に背番号1で甲子園に行ってもらいたい」

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