丸亀の荻田拓実選手=2025年7月15日、高松、木野村隆宏撮影

 (15日、第107回全国高校野球選手権香川大会2回戦 尽誠学園13―3丸亀=5回コールド)

 四回表に1点を挙げ追い上げる丸亀はなおも2死満塁の好機で代打の切り札、荻田拓実選手(3年)が出てきた。味方ベンチが沸いた。

 「チームに流れをもってくるぞ」

 初球から積極的に振っていった。鋭い当たりだったがセカンドライナー。それでも「まだ終わってない」と、一塁まで全力で駆け抜け、あきらめない気持ちをみせた。

 何度も涙を流した3年間だった。

 1年の夏、走塁練習でヘッドスライディングをしたときに肩を脱臼。2年の冬と3年の春にも再び脱臼し、手術を余儀なくされた。

 部活をやめようか何度も悩んだが、あきらめず、できる練習を重ねてきた。

 3度目の脱臼をした今年4月、杉吉勇輝監督に「最後の夏、ここぞというときに一本打ってチームを明るくしてほしい」と代打専従を打診された。

 監督からは「丸高の野球を教えてやってほしい」と1年生を指導する新人監督も託された。人一倍苦労した分、1年生がケガをしないよう、ケアなどを徹底させてきた。

 試合は、尽誠学園の猛攻に耐えきれず、昨夏の初戦で破った相手にコールド負けを喫した。

 「このチームで甲子園まで行きたかった」と涙が流れた。杉吉監督は「結果はアウトでしたけど、彼らしい、いいスイングでした」とねぎらった。

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