(27日、プロ野球 福岡ソフトバンクホークス6―3千葉ロッテマリーンズ)
ここぞの場面で、とっておきの切り札が控えていた。
- 驚異的な勝率、好調ソフトバンクに選手の「心」を支えるコーチの存在
1―1の投手戦で迎えた八回。ソフトバンクは二塁打と犠打野選で無死一、三塁とすると、小久保裕紀監督は迷わずベンチを飛び出した。球審に歩み寄り、代打を告げた。
その背後から、バットを持ってゆっくり出てきたのが近藤健介だ。
「おいしい場面。絶対にこのチャンスを生かしたかった」。今月17日の広島戦で左足かかとを痛め、欠場が続いていた31歳。この日、6試合ぶりにベンチ入りしていた。
久しぶりの打席でも昨季の首位打者のバットコントロールは健在だ。2ボールからの3球目。低めのフォークをすくい上げ、勝ち越し打を右前へはじき返した。
チームは交流戦を6年ぶりに制した。だが、打線は万全ではない。近藤ともう一人、苦しんでいたのが主砲の山川穂高だ。
打率2割4厘、9本塁打と本来の力を発揮できず、今月16日に登録を抹消。「気合を入れ直した」と、交流戦明けの練習に丸刈り姿で合流し、この日は6番打者として復帰した。
3打席目まで無安打だったが、近藤の一打で火が付く。この回、なお2死満塁の場面で154キロをバックスクリーンへ。ちょうど1カ月ぶりの今季10号に、「ようやく自分の打撃ができた」。笑顔が戻った。
2人の活躍に、監督も「頼もしい」。逆転での連覇へ、役者はそろった。