衆院選での大敗の責任を取り、小泉進次郎氏は自民党の選挙対策委員長を辞職すると表明した。その時に語ったのは「政治とカネの問題に決着をつけられずに選挙に向かってしまった」。
本当に決着をつけようとしていたのか。記者が疑問を持ったのは、選挙戦の最中、ある場所でその姿を目撃したからだ。福島3区。裏金問題で処分され、非公認になった議員が立候補を断念した後、裏金問題に関与した議員が擁立された選挙区だ。
- 福島3区の選挙結果
岸田前首相は幹部ではない
衆院選の折り返しを過ぎた10月22日、福島県喜多方市のスーパー「リオン・ドール喜多方西店」に厳重な警備が敷かれた。駐車場で待っていた聴衆はみな、事前に金属探知機で凶器の持ち込みをチェックされていた。
最初に、黒いワゴンから降りてきた人物が手を振った。岸田文雄前首相だ。そして、演説会の主役、上杉謙太郎氏(49)が遅れて選挙カーでやってきた。
上杉氏は福島3区に無所属で立候補している。自民党の衆院議員だったが、裏金問題に関与し、非公認になった。その候補への支持を、岸田氏が熱く訴えた。
「私が最も大切にしている同志だ」
「この人を絶対に落としてはならない」
演説を終えた岸田氏に上杉氏が頭を下げて、握手を交わした。
閣僚や党幹部は非公認の候補の応援には入らない。当初、自民党はそう説明していた。だが、岸田氏について、上杉氏の選対本部長を務める渡辺義信県議は「岸田前首相はもちろん閣僚ではない。党四役でもないので問題ない」と説明した。
非公認で無所属での立候補ながら、さながら自民党の公認候補。その様子を取材しました。
はためく「自民党」ののぼり…