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 食べ残しを見つけたら「もったいなーい」、ジャージャー水を流していたら「もったいなーい」。どこからともなくやってくる、もったいないばあさんが生まれて今年で20年。作者の真珠まりこさんに、誕生秘話や作品に込めた思いを聞きました。

きっかけは4歳の息子の一言だった

 大阪のデザイン学校を出たあと、イラストレーターをしていました。いつか絵本を作りたい、と思いながら、夫の転勤で約3年間、アメリカへ。渡米してすぐ、地元の神戸で阪神・淡路大震災が起きて、やりたいことがあるなら、その時に精いっぱいやらなきゃ、と実感したんですね。

 ニューヨークのパーソンズデザイン学校などで、絵本制作の講座を受けました。出版を目指して取り組んだものの、「日本人だし」と自信を持てずにいたら、「ここでは何も成し遂げてないんだから、ただやればいいだけでしょ」と言われ、はっとして。デビュー作はアメリカで出版されました。

 「もったいないって、どういう意味?」。この本は20年前、4歳だった息子に聞かれた体験がもとになっています。息子の食べ残しをみた私が「全部食べようね」と言ったら「どうして残しちゃいけないの?」。「もったいないからよ」と返すと、しばらくしてその質問がきました。

講談社、2004年、シリーズ累計170万部。 「もったいないこと、してないかい?」。食事中や歯磨き中、どこからともなくやってくるもったいないばあさんはたずねます。涙をふいた紙も、短くなったえんぴつ、ミカンの皮だって、工夫次第でまだ使えると、ものを大切にする気持ちを教えてくれて……。

 色んなことを聞いてくる年ご…

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