5日に始まる夏の甲子園に出場する北海(札幌市豊平区)。部員69人のうち28人が専用寮「ゲストハウス北海」で生活する。食事をつくるのは立島敬子さんだ。
寮は学校から徒歩約10分。3階建てと2階建ての2棟に3年生8人、2年生10人、1年生10人が暮らす。畑山玲穏選手(3年)は「同級生だけでなく、先輩や後輩とも長い時間を一緒に過ごすことができて楽しい」と話す。
立島さんは、野球部の立島達直部長の母。現在は主に夫と2人で寮を運営している。
立島さんには寮を運営していてうれしいことが二つある。
一つは勝った報告をしてくれること。
南大会決勝で満塁本塁打を放った佐竹徠都選手(2年)は、寮に帰ってくると、手を頭上でくるくる回しながら「おばちゃん、ホームラン打ったよ」と報告してくれた。
もう一つは、食事を「おいしい」と言ってくれること。
食事もトレーニングの一環として力を入れている北海。寮生は3食で1日5千キロカロリー摂取が目標。激しい練習でやせてしまうからだ。炊き上げるごはんの量は朝30合、夜70合。毎日、1人で計1キログラム以上を食べる。
人気メニューはからあげやハンバーグ。夏は冷しゃぶの評判がいい。冷しゃぶ好きの桜井悠也選手(3年)は、もともと体が細く、あまり食べられなかった。しかし、寮生活で1年生時から約16キロ増量し、体力や走力、打力の向上につながった。「最初はキツかったけど、おいしいし、栄養がしっかり考えられているので、食べられる量が増えました」
朝食は6時20分から。仕事は体力的に大変だが「子どもたちは孫のようで頑張れる」と顔をほころばせる。
立島さんは現3年生を「整理整頓などきちっとしている代」と言う。3年生たちは最後の夏。甲子園の初戦は寮でテレビ観戦するという。