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最高裁判所=東京都千代田区

 福井県敦賀市樫曲にあった民間の廃棄物処分場に大量のごみが違法に搬入され汚染水が流出したとして、対策工事費を負担した市が、ごみを排出した県外の自治体でつくる4団体と1町に一部費用の支払いを求めた訴訟の上告審判決が14日、最高裁第一小法廷(中村慎裁判長)であった。第一小法廷は「排出元にも費用を負担する義務がある」とし、負担額を検討させるため審理を高裁に差し戻した。

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 排出元は、栃木県内の自治体でつくる事務組合など4団体と長野県下諏訪町。敦賀市内の廃棄物処理業者(破産)が許容量の13倍の廃棄物を搬入し、周辺の地下水から環境基準を超える有害物質が検出された。このため福井県や敦賀市が約100億円を負担して対策工事をした。

 裁判の争点は、ごみを排出した側が環境対策の義務を負うか、だった。

 排出元の自治体側は裁判で、「業者に指導監督する権限は処分場が立地する敦賀市にあり、排出元の自治体に費用負担する義務はない」などと訴えた。一審・福井地裁は排出元に費用負担を命じたが、二審・名古屋高裁金沢支部は負担の必要はないとして、敦賀市側の逆転敗訴としていた。

 しかし第一小法廷は判決で、排出元の自治体側は、ごみを区域外で処分することで様々な負担を免れていると指摘。排出元が、生活環境上の支障を取り除く対応をとることが「廃棄物の円滑な処理に資するうえ、関係市町村間の衡平にもかなう」と結論づけた。

 その上で、排出元自治体の負担額を検討させるため審理を高裁に差し戻した。

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