「いこまスイカ割り」を手にする清栄薬品の清水幸子取締役。「ビールにそそぐと『味変』が楽しめますよ」=2024年4月5日、奈良県生駒市北田原町、伊藤誠撮影
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 奈良県生駒市の中小企業が協働で開発したクラフトコーラが、今夏から同市内で本格販売されることになった。アフリカ原産の野生種スイカを原料に7種のスパイスなどを加えたシロップで、その名も「いこまスイカ割り」。6次産業による経済の活性化を進めるきっかけにと、市も後押ししている。

 砂漠でも元気に育つという野生種スイカを栽培しているのは、新技術を使った農業関連事業を展開する「AKjapan」(同市ひかりが丘3丁目)。同市北部の高山町にもつ約60アールの畑が当面の栽培地だ。「水やりや肥料がほとんどいらず、手間がかからないスイカなので、遊休農地や耕作放棄地の有効活用に生かせます」と話すのは、有山政彦社長(65)。すでに、複数の農家から問い合わせがあったという。

 この「スイカ水」からコーラを完成させたのは、健康食品などのメーカー、清栄(しんえい)薬品(同市北田原町)で、製造も担当。昨年8月にテスト販売を実施したところ、とくに30~40代にうけた。試験段階では、風味にカボスの果汁を使っていたが、「県内産」へのこだわりから、太古から伝わるかんきつ類「大和橘(たちばな)」に変更。より飲みやすくなり、ほろ苦さも加わった。

 有山さんたちが薦めるのは、炭酸割りやお湯割り、ミルク割り。ワインや焼酎で割ってもおいしいそうだ。冷えた炭酸水で割って飲むと、シナモンやカルダモンなどスパイスの風味が口いっぱいに広がり、すっきりとした飲み心地。国内産のテンサイ糖で甘さもほどよい。このスイカ水には、血流促進などの効果があるとされ、「美容と健康」を売り文句にしている。

 市は、コーラ開発をSDGs推進事業に採択してバックアップ。県立奈良北高校(同市)に呼びかけてコーラのボトルデザインや商品名を考案してもらい、生徒たちから応募のあった約160点から選んだ。市SDGs推進課の担当者は「6次産業化商品の誕生だ。量産で農業振興にもつながれば」と期待を寄せる。

 1本200ミリリットル入りで税込み1800円。現在、市アンテナショップ「おちやせん」(同市北新町)で試験的に販売しており、夏からは無印良品近鉄生駒店などでの販売開始を予定している。また、今月から市のふるさと納税の返礼品にも登録された。清栄薬品は、週に1千本は生産が可能という。

 商品の問い合わせはAKjapan(090・9167・0317)へ。(伊藤誠)

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