石川県珠洲市を舞台に開かれた「奥能登国際芸術祭」。直近は2023年秋に開催され、多くの交流人口を生み出したイベントだったが、翌年元日の能登半島地震後、芸術祭実行委員会事務局は街の復旧を最優先し、活動や発信を控えてきた。それがこの3月、イベントを開き始めた。背景には、芸術祭を足がかりに営業再開した市内飲食店などのために客を呼び込み、再び関係人口を生み出したいとの思いがある。
同祭は2017年、「さいはての芸術祭」として市全域の屋内外を舞台に初開催。総合ディレクターは瀬戸内国際芸術祭なども担当する北川フラムさん。21年、23年と3回催された。
23年は5月に同市で最大震度6強の地震が発生し、開催を3週間延期。14の国・地域から59組の芸術家が参加し、61作品を展示。本州最小人口1万2千人ほどの市に、9~11月の51日間で5万1136人が訪れた。来場者アンケートによると、5割が珠洲市外の県内、4割が県外からという。
10作品に大きな被害、1作品撤去
昨年元日の地震では地面の隆起や地盤沈下などの影響で、常設23作品のうち10作品が大きな被害を受け、1作品が解体撤去された。坂茂さん設計の「潮騒レストラン」は8月に再開したが、9月に能登を襲った豪雨の影響で再び休業となった。
実行委事務局を務めた市職員…