2025年6月末で引退する311系車両=JR東海提供

 JR東海の名古屋地区で走る通勤型車両「311系」が、6月末で営業運転を終えることになった。引退を前に、特別な装飾をした車両の運行などの企画を実施する。

 311系は1989年7月、金山総合駅(名古屋市)の開業にあわせたダイヤ改定で、東海道線の快速用車両として登場した。

 ステンレスの車体にオレンジ色の帯を巻いた外観で、ブレーキ性能を向上させてJR東海の在来線通勤車両では初めて最高速度時速120キロを実現させた。

 311系によって東海道線・名古屋―岐阜間の所要時間が18分に短縮するなど、競合する名古屋鉄道とのスピードアップ争いの象徴とも言える存在になった。

 中央線や武豊線でも運用されたが、2022年に新型315系の運用が始まると置き換えが進み、登場から36年での引退となった。

 JR東海は今月30日以降、311系への「感謝を込めた装飾」を最後に廃車となる2編成に対して行う。

 同系の乗務機会が多い大垣運輸区の社員がデザインしたヘッドマークをつけたり、登場当時にあった車両側面のJRマークを復刻する。他にも車内には、走行写真や利用客からのメッセージを添えたポスターを掲げる。

 今月17日には、「311系でんしゃカード」を無料で配布する。対象は、大垣駅午前11時11分発の下り列車もしくは米原駅を正午発の上り列車に乗った希望者で、乗務員が400枚を配る予定だ。

 また、7月12日には「廃車回送ツアー」と銘打った団体専用列車を運行する。詳細は「クラブツーリズム鉄道部」のX(旧ツイッター)で確認できる。

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