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阪神の中野拓夢=内海日和撮影
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 阪神タイガースの中継などでおなじみの朝日放送テレビ・高野純一アナウンサーと、朝日新聞スポーツ部のトラ番大坂尚子記者が定期的に語る「虎バン主義。」。交流戦を終えたチームについて話しました。

 大坂 交流戦は8勝10敗で終えました。

 高野 西武、楽天での7連敗を思えば、耐えたのではないでしょうか。

 大坂 セ・リーグの各チームも苦戦していたこともあり、ゲーム差なども大きくは変わりませんでした。

 高野 交流戦を終えて思ったのは、リーグ優勝に向けて視界は明るいということ。巨人なら岡本和真選手、ヤクルトは村上宗隆選手など、他の球団はケガ人もいてオーダーを組むのに必死な感じがあるけど、阪神はしっかり相手と戦えている。

 大坂 1~5番が固定できているのは大きいですよね。

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 高野 特にこの5人はケガなどして欠けてほしくないなと思います。個人的にキーになっていると思うのは2番の中野拓夢選手です。

 大坂 昨季はリーグ戦の全143試合に出場しましたが、打率2割3分2厘に終わりました。持ち味の足でも本領を発揮できず、過去最低の6盗塁でした。それだけに、今年、再起への思いは強いです。

 高野 開幕からそれを有言実行できていますよね。6月22日のソフトバンク戦では頭部死球で病院直行となり、心配したけど、無事に戻ってきた。森下翔太選手や佐藤輝明選手の活躍に埋もれがちかもしれないけど、完全にチームの顔の1人です。

 大坂 6月29日現在で、24犠打はリーグトップ。中軸につなぎつつ、打率もリーグ2位の3割8厘と打てもする。四球も選べるので、出塁率3割8分4厘もリーグトップ。文句のつけようのない数字です。

 高野 「積極的に打つときとじっくりいくとき、そのメリハリができている」と言っていました。先日、今季初失策はあったけど、守備も安定しています。

 大坂 代えのきかない選手、という言葉がふさわしいです。

 高野 佐藤輝選手が外野に回ったことで、いま三塁が日替わりになっています。岡田彰布・前監督の時は出番がなかった高寺望夢選手や、代走が多かった熊谷敬宥選手がスタメンの機会が増えました。良くも悪くも、明日がどうなるかわからないのがプロだと実感しますが、こういう競争があるのも強さにつながります。

 大坂 野手だけでなく、中継ぎも新人の木下里都投手や2年目の椎葉剛投手なども1軍で登板し、活性化されている印象です。

 高野 ビハインドゲームなどで若手の挑戦枠はあっていいですよね。あとは頭部に打球が直撃した石井大智投手が戻ってくれれば……。近未来のクローザー候補ですし、また元のようなパフォーマンスをしてくれるのが楽しみです。

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