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短歌時評 小島なお

 7月21日付朝日歌壇・朝日俳壇面のコラム「短歌時評」をお届けします。歌人の小島なおさんが、社会的テーマを詠うときに求められることについてつづります。

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  • 【7/31まで「お題」募集】木下龍也さん×記者サロン「あなたのために詠む短歌②」

 社会的であることと、文学的であること。現代短歌ではいま両輪の力が求められている。社会的テーマを詠(うた)うことは、時代の実感や苦しみに光を当てるという点において意義がある。けれど、社会的であることと文学的であることは本来分けて考えなければいけない。

 〝君〟を救ひにする物語全部嫌 西陽 テラリウムへ満ちてくる 

 睦月(むつき)都『Dance with the invisibles』

 富める人ならざるわれらお互ひの腫物(しゆもつ)を目守(まも)りつつ触れざりき

 濱松哲朗『翅(はね)ある人の音楽』

 しのびがたきをしのんで僕のこんにちはこんなに遅く出てくる子供

 土井礼一郎『義弟全史』

 一首目は、異性愛を前提とす…

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