Smiley face
写真・図版
札幌地裁=2021年5月14日、札幌市中央区
  • 写真・図版

 札幌市の繁華街・すすきののホテルで2023年、頭部が切断された男性(当時62)の遺体が見つかった事件で、殺人幇助(ほうじょ)や死体遺棄幇助などの罪に問われた医師田村修被告(61)の裁判員裁判の判決が12日、札幌地裁であった。渡辺史朗裁判長は殺人幇助などの成立は認めず、死体損壊幇助や死体遺棄幇助を有罪とし、懲役1年4カ月執行猶予4年(求刑懲役10年)を言い渡した。

 修被告は23年6~7月、娘の瑠奈被告(31)=殺人などの罪で起訴=が男性を殺害し、頭部を自宅に隠して損壊する計画を知り、手助けしたとして起訴された。検察側は、修被告が瑠奈被告に凶器を買い与えていたなどとする状況証拠を積み上げた。

 だが判決は、瑠奈被告が本来の目的を明かさずに凶器を購入させた可能性は否定できないなどと指摘。「修被告は瑠奈被告が何らかの犯罪に及ぶ可能性は認識していたが、殺人に及ぶことを事前に認識していたとまでは立証されていない」と判断した。

 一方で、瑠奈被告が自宅に頭部を持ち帰った後、自宅を隠し場所とするのを黙認したことや、阻止しなかったことは死体遺棄の手助けにあたり、損壊行為のビデオ撮影は瑠奈被告の犯意を増強させ、心理的に幇助したものと評価した。

 量刑理由については「娘の犯行を阻止できる唯一の立場で被告の関与は大きいが、積極的な行為には出ていない」などと述べた。

 判決によると、修被告は23年7月2~24日、瑠奈被告が男性を殺害して持ち帰った頭部について、自宅に置いておくことを容認。7日には、瑠奈被告が頭部を損壊する様子をビデオで撮影した。

共有