NMB48の三鴨くるみさん=大阪市中央区、滝沢美穂子撮影

レッツ・スタディー!演劇編 三鴨くるみさん①

 NMB48メンバーが舞台芸術の魅力を紹介するコラム「NMB48のレッツ・スタディー!」演劇編第5回。今回はNMB48の第10期生メンバーとして加入し、10月9日リリースのシングル「がんばらぬわい」の歌唱メンバーとしてさっそく抜擢(ばってき)された三鴨(みかも)くるみさん(22)が連載初登場。「私という人間を語るにあたって、舞台という存在抜きには語れません」というほどの舞台好きだといいます。

 記事後半で、読者の方の中から抽選で3名様に、三鴨くるみさんのサイン色紙をプレゼントする企画の案内を掲載しています。

6歳で出会った「アニー」 目に焼きついた舞台

NMB48の三鴨くるみさん=大阪市中央区、滝沢美穂子撮影

 みかも・くるみ 2001年、東京生まれ。音楽を愛好する両親のもとに生まれ育つ。6歳の頃に観たミュージカル「アニー」に大きな影響を受ける。15歳の頃に韓国に渡り、韓国でのアイドルデビューをめざしてレッスンに励む。紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、今年1月から始まったNMB48の10期生オーディションに応募することを決意。合格し、初めての大阪生活を送っている。今年10月9日にリリースされるNMB48の30枚目シングル「がんばらぬわい」の歌唱メンバーに選抜され、同じく10期生から選ばれた高橋ことねさんとともに話題を呼んだ。「『人生、焦らなくてもいい』というメッセージのこもった曲。ときに頑張り過ぎて空回りすることもあった自分には染み入るものがあります」という。特技は韓国語、チアダンスなど。

 初めまして、NMB48の三鴨くるみと申します。第10期生として、今年の夏から活動を始めました。

 まずは自己紹介を兼ねて、私と「舞台」との関わりから少し。

 私と舞台の出会いは、2007年に初めて見たミュージカル「アニー」でした。当時6歳ぐらい。演劇が好きな祖母に連れられての鑑賞でした。

 その時に「『アニー』に出たい」と強く思ったのが私の夢の始まりでもありました。

 私と同い年くらいの子が舞台に立ち、役を演じていたことがかっこよくて、衝撃を受けました。今も舞台の細部まで、その日みた情景をすべて覚えています。その日からCDをずっと聴いてまねをしていました。

 初めて「アニー」を観(み)たころに、ちょうどチアダンスを習い始めました。

 私の通っていたダンススタジオでは、チアダンスのほかにもジャズダンスやバレエ、ヒップホップなど様々なジャンルのダンスに挑戦できました。発表会では、ミュージカルのようにストーリーに沿ったパフォーマンスをたくさん演じ、そのたび初めて「アニー」を観たときの感情を思い出していました。

 舞台の上で何かを表現して、誰かに見てもらうのが好きだ、という気持ちが固まっていったのです。

 そんな日々の中で(AKB48をはじめとする)48グループの存在を知り、アイドルを夢みるようになり、アイドル修業のために韓国に渡って、そして今に至ります。このあたりの話は、おいおいさせていただけたらと思います。

吸収しまくった「舞台」 宝塚、劇団四季…そして能も

韓国でアイドルになるためのレッスンに励んでいたころの三鴨くるみさん=三鴨さん提供

 ダンスに真剣に取り組み始め、自分で何かを演じること、表現することに楽しさを感じるようになったのは、上述した通り、「アニー」が最初のきっかけでした。

 自分で表現したいからこそ、たくさんの舞台作品を観に行きました。

 宝塚や劇団四季、ブロードウェー、バレエ団や「能」など、舞台作品であればジャンルを問わずたくさんのものを観に行きました。

 特に「能」。面をつけて、演者の表情をみせない状態でこそ表現できる物語や感情があることに感銘を受けました。オーラで観客を動かすというのか。食い入るように見つめてしまいました。

ニューヨークで観た! 「くるみ割り人形」の衝撃

 そのほかにも、印象に残っている作品を二つほど紹介します。

 ひとつ目は「マッスルミュージカル」。

 これは「筋肉で音楽を奏でる」がコンセプトの作品で、巨大な跳び箱だったり、舞台上に設置された大きな水槽の中での演技だったり、人間離れした身体能力を見ることができるミュージカルです。ただの筋肉自慢ではなく、筋肉と歌声を使って物語を表現していくという、かなり見応えあるミュージカルです。今はもう終了してしまっていますが、復活してくれないかなとひそかに思っています。

2019年に三鴨くるみさんは米ニューヨークのカーネギーホールを訪れた=三鴨さん撮影

 そして、ふたつ目はNYCB(ニューヨーク・シティ・バレエ団)の「The Nutcracker(くるみ割り人形)」です!

 クリスマスの時期に、アメリカ・ニューヨークまで観に行きました。高校3年のときです。これも、祖母が連れていってくれた旅でした。

 冬といえば、NYCBのくるみ割り人形です。世界中で有名なバレエ団の作品を、人生で一度でも観に行けたことがまずはとてもうれしかったです。

 「くるみ割り人形」という演目自体、私の名前に入っている「くるみ」が題となった作品なので、小さい頃からどこか親近感を抱いていて、大好きな演目でした。

 そしてデビッド・H・コッホ・シアターに足を運べたことにも意味があると思っています。本当に幸せな空間でした

アイドルの夢をあきらめかけたこともあったけど

シングル曲「がんばらぬわい」のミュージックビデオ用衣装を身につけた三鴨くるみさん=三鴨さん提供

 今は簡単にふたつだけ紹介させていただきましたが、それ以外にもたくさんの作品を観に行きました。

 作品を観る中で私は「あの役のあの表現がすごい」だとか、「あそこであの声をどうやったら出せるのか」とか、たくさんのことを思います。でも、いつも帰り道に残るのは、「私もやりたい」という感情でした。

 私は「アイドル」という夢を幼い頃からみていましたが、一度、「ミュージカル」の道に進もうとしていた時期もありました。

 テレビに映る48グループのアイドルはみんな洗練されており、衣装も、歌もダンスも際だって魅力的でした。私もこの場に立って輝けるのだろうか、向いていないんじゃないか……と高3の時期から進路に悩み始め、いったんは「もうアイドルを夢みるのはやめよう」と思い、大学でミュージカル学科に入りました。

 しかし、大学入学の年がコロナ禍に重なってしまい、思ったような大学生活を過ごすことはできませんでした。そして再び、アイドルの夢を追いかけることになったのです。

「会場」が重要なポイントだと思うわけ

 今でも舞台は大好きです。同時に、アイドルをするうえでも、多くの舞台を観てきた経験は生きてくると思っています。     

 「デビッド・H・コッホ・シアターに足を運べたことにも意味があると思っています」と先述したように、私は舞台をする側にとっても、観る側にとっても、「会場」は重要なポイントだと思っています。

 会場ごとに大きさはもちろん、床の質感であったり、照明の当たり方、音の響き具合、そしてその会場が持っている歴史であったり、すべてが違って、唯一無二です。

 それはいまNMB48のメンバーとして活動していく中でも同じだと感じていて、ただ会場が小さければ良い、大きければ良いというわけではなく、そこの会場の特性を踏まえたうえで立つことに意味があると思います。

 例えば大阪・難波にあるNMB48劇場。

NMB48の10期生が初めてパフォーマンスを披露した特別公演で自己紹介する三鴨くるみさん=7月28日 ©NMB48

 面積は小さいですが、その分ファンの方々との距離は近くなり、お互いにしっかりと表情を確認できるので、ファンの方と一緒に一つの公演を作り上げることができます。

 そして、なんと言ってもNMB48にとっては今までの全ての先輩方がめざしてきた場所であり、立った場所であり、大切にしてきた場所であり、NMB48の始まりの場所です。だからこそ劇場で公演をすることに意味があります。

初めてNMB48劇場での公演に出演した歳の三鴨くるみさん=三鴨さん提供

 打って変わって、私が目標として掲げている京セラドーム大阪(大阪市西区)のように大きな会場では、空間が深くなる分、幅広い演出をすることができ、客席からの見え方も違うので演者側の意識するポイントも変わってきます。

 例えば、小さい会場では表情や指先など繊細な部分にまで力を入れていたとしたら、大きな会場ではいかに大きく、いかに多くの人にパワーを届けられるかが大事になります。

 そして、団体での構成がよく見えるようになるので、チームとしてのまとまりがより重視されるようになります。

 舞台は、会場まで含めて「作品」だと思っています。

 私はNMB48の三鴨くるみとして歩み始めたばかりですが、たくさんの会場に立てるように頑張りたいと思っています。

 これから新しく「演劇編」の連載をさせていただくということで、私の大好きな「舞台」についてたくさんお話ししたいです。

 今まで観客側だった私が、演者側になり、改めて舞台を観た時に感じることはあるのか、変化はあるのか。楽しみにしていただけたらなと思います。

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NMB48の三鴨くるみさん=大阪市中央区、滝沢美穂子撮影

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