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常葉大菊川―聖光学院 力投する聖光学院先発の大嶋=滝沢美穂子撮影
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 (22日、第97回選抜高校野球大会1回戦 常葉大菊川3―4聖光学院、延長十二回タイブレーク)

 エースナンバーを背負った聖光学院(福島)の先発、大嶋哲平投手(3年)は、憧れのマウンドに強い決意をもって立った。「俺が試合をつくり、最後まで投げきるんだ」

 昨秋は背番号10ながら変化球のキレと制球力で先発を任され、管野蓮投手(同)との継投で東北大会を制した。

 その誇りが崩れ去ったのは、0―10の5回コールド負けを喫した明治神宮大会・東洋大姫路戦だ。大嶋は打ち込まれ二回で降板した。

 ショックを受け、2日間ほど体が動かなかった。「負けたのは自分のせい」。悔しさをバネに、冬場は下半身の強化に取り組んだ。白米をかき込み、体重も5キロ増やした。体全体を使った投球フォームに改良し、直球の球威と変化球の切れ味を磨いた。

 成果はこの試合で表れた。緩急をつけた投球と持ち前の制球力で相手打者に的を絞らせず、内野ゴロやフライの山を築いた。チェンジアップなど変化球でカウントをかせぎ、最後は直球で勝負した。

 「相手が強打者でも、逃げずに真っ向勝負する」。苦い敗戦で学んだことだ。たとえ打たれても、仲間が捕球してくれると信じて投げた。

 延長十回に犠飛と適時打で2点を失ったが、連打は許さず自責点ゼロ。次の回に悔いなくマウンドを管野に譲った。

 千葉県の出身。2歳年上の兄颯太さんの背中を追いかけ、聖光に来た。兄は試合に出られなかったが、自分が夢の舞台に立てたのは野球の楽しさを教えてくれた兄のおかげだ。

 「勝ったよ。やっぱり甲子園は、最高の場所だよ」。次の試合も、初回から全力投球するつもりだ。

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