旧満州(中国東北部)で生まれ育った児童文学作家のあまんきみこさん(94)。戦争のかげに小さな命をとじた「ちいちゃんのかげおくり」や「おはじきの木」などの作品で知られます。戦後80年の今年は、満州での体験がきっかけとなった絵本「さくらが さいた」を出版しました。戦争に向き合ってきた理由や子どもたちへの思いを聞きました。
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旧満州の撫順で生まれました。父が満鉄(南満州鉄道株式会社)の関連会社で働いていた関係で、新京(現・長春市)、大連と移り、子ども時代を中国で過ごしました。
祖父母やおばとも暮らし、私は大人たちに守られて、たくさんのお話を聞かせてもらい、本を読み育ちました。
終戦の間近、ソ連の満州侵攻で、怖い思いもしましたが、幼少期や少女時代は、実は楽しい思い出も多いのです。
体が弱かったので、休む日も多かったけれど、学校では、軍服を縫う作業をしたり、手榴弾を投げる練習をしたり……。今、考えると、へんなところもいっぱいあったけれど、そのときは「平和のための戦争」を何も疑わずにいました。
知らなかったこと「恥ずかしいと思って生きてきた」
ずっと、あとから知りました…