2016年3月20日、バチカンのサンピエトロ広場で行われたミサで手を振るフランシスコ教皇=ロイター

 ローマ教皇庁(バチカン)は28日、88歳で死去したフランシスコ教皇の後任を決める秘密選挙「コンクラーベ」を5月7日から始めると発表しました。14億人の信者を束ねるトップに就くのは誰か。1978年から半世紀近くバチカンを取材する元BBC記者のデービッド・ウィリー氏(92)に、今回の「教皇選挙」の行方を聞きました。

  • 【ビジュアル解説】コンクラーベ 教皇選挙とは?

 ――フランシスコ教皇の葬儀が終わり、コンクラーベの号砲が鳴らされた状況でしょうか。

 実は葬儀の前から、秘密の協議は毎日行われています。これは「コンクラーベの母」とも言える政治的工作で、水面下で様々な陰謀がうごめく映画「教皇選挙」の世界がそのまま、展開されているのです。

 教会には大きく分けて、伝統を重んじたい保守派と、フランシスコ教皇の路線を踏襲したい改革派の二つがあり、そのイデオロギー的なせめぎ合いが繰り広げられています。

 ――なぜフランシスコ教皇はバチカンの「改革」を求めたのでしょう。

 私はこれまで5人の教皇を取材しましたが、誰よりも庶民的で権力を求めない人でした。歴代の教皇が暮らした教皇宮殿には住まず、コンクラーベの時に枢機卿の宿舎として使われるサンタマルタ館で暮らしました。

 「あなた方はゴシップ好きのようだ。そんなことのためにここにいるのか」と枢機卿らを公然と批判し、バチカンの官僚主義的な慣行や政治闘争を嫌いました。ファシスト政権下のイタリアを逃れてアルゼンチンに移り住んだ移民の子どもという生い立ちも、大きく関係していると思います。

 ――どういうことでしょう。

 カトリック教会の中で「周縁…

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